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消費者問題最前線 茨城県消費生活センター 副会長 石ア 泰子 茨城県消費生活センターが設置されたのは、「消費者保護基本法」が制定された翌年の昭和44 年11 月。 偕楽園の一角にあった婦人会館の1 階でした。それから幾度か場所を替えながら現在は水戸合同庁舎1 階で業務を行っています。業務内容は、(1)消費者啓発(啓発講座・情報提供)、(2)消費生活相談(苦 情・問合わせ・要望)と専門機関(茨城県弁護士会・(社)日本建築家協会)、(3)商品試験 からなり、 安全な消費生活の確保に日々活動しています。消費生活相談は、ゆりかごから墓場までと言われるよう に生活全般の相談を受けております。 最近ではアダルト情報サイトや出会い系サイトの相談が多く、「スマートフォンでア ダルトサイトを閲覧したところ、年齢確認欄をクリックしただけで高額な請求を受け た。支払わなければならないか」などパソコンや携帯電話による架空請求の相談が後 を絶ちません。他に住宅新築・リフォーム工事契約、多重債務、中古自動車・バイクの 購入契約など多岐にわたっています。 訪問販売など一定の取引きについて、クーリングオフ制度が設けられ「消費者が契約した後に冷静に 考え直す時間を与え、一定の期間内であれば、無理由・無条件で契約を解除できる制度」です。「契約は 守られなければならない(民法)」とする原則の例外であり、消費者がクーリングオフできる取引は法律 や約款に定めがある場合に限ります。クーリングオフで解除できる期間は、訪問販売、電話勧誘販売、 貴金属など事業者が消費者から買い取る契約(最近多い取引)、生命・損保保険契約などは8 日、マルチ 商法などは20 日。自分から店に出向いたり、広告を見て自分から電話やインターネットで申し込む取引 や通信販売は適用除外です。但し、通信販売業者が広告に返品特約の表示をしていない場合は、商品を 受け取った日から8 日以内は契約の解除が可能です。契約自由の原則ではありますが、不意打ち的な契 約やデート商法など契約取引は衝動に走ることなく慎重に(誰かに相談するなど)冷静に対処したいも のです。 また、最近注目されるのは平成16 年から多発している「振り込め詐欺」。 現在も勧誘手口が目まぐるしく変わり被害金額も高額化しています。「振り込め詐欺」 は、架空請求・おれおれ詐欺・融資保証金詐欺・還付金詐欺の総称です。 因みに平成24 年の全国の被害額は363 億円(東京・千葉・神奈川・埼玉でその約80%) と過去最高となり、茨城県は1 億9,300 万円とのことでした。「振り込め詐欺」の被害金 はほとんど戻りません。新たな手口で翻弄される消費者に現在の情報をどのように提供 していくか。「私は大丈夫」と誰も思っている中での被害にどう対処するか。警察をはじめ、民生・児童 委員や地域の「見守り隊」、「包括支援センター」、近所の方々などの独居世帯・高齢者世帯・生活弱者へ の見守りと連携が未然防止につながると期待します。 「おかしいな?困ったな?」と思ったら一人で悩まず「必ず誰かに相談する」ことです。現在では県 内全市町村に相談窓口が設置されています。 老後の資金が狙われる悪質な手口の変化と情報を共有し、安らかな健康長寿を願っています。 (茨城県消費生活センター消費者教育講師) 被害に遭った場合や、不安なときは・・・ ・ 消費生活センター相談電話 : 029‐225‐6445 ・ 消費者ホットライン : 0570‐061‐370 5