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vol82   2 / 8

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茨城県立中央病院名誉院長 永井 秀雄 今年4 月から茨城県立中央病院名誉院長とともに茨城県地域医療担当顧 問を仰せつかっています。中央病院では従来と変わらずに診療をしています。 県顧問の仕事は地域医療の視察や支援です。 さっそく医学生2 名と一緒に、大子町の地域医療を2 泊3 日で視察して きました。水戸駅からJR 水郡線で1 時間20 分、車だと2 時間近くかかり ます。袋田の滝は四度訪れていても、この地域の医療現場を見るのは初めて でした。久慈川流域の小さな盆地が町の中心。八溝山の中腹に広がる多くの 沢沿いにも人々が暮らしています。人口は2 万人弱。面積は県内44 市町村 中3 番目の広さ。高齢化率は40%を超え、少子高齢化と言われる今の日本 の45 年先を進んでいます。 一般の医療機関は町の中央に4 つ、いずれも小規模でほとんどの建物は老朽化が目立ちました。医師 の高齢化も深刻でした。人口当たり医師数は、全国ワースト2 位と言われる茨城県の平均のさらに半分 です。それでも、地域の救急車応需率はほぼ100%。驚きです。 もちろん、重症者は水戸市や栃木県の大田原市に送ります。大田原市までは1 時間。水戸市よりも近 いのです。しかし山越えの通院は簡単ではありません。ある病院で透析医療が行われていました。導入 は水戸市あるいは大田原市の総合病院で済ませ、維持透析は地元とのこと。視察の時10 人ほどの患者さ んが静かに透析を受けていました。そのうちの1人の方と話ができました。自宅は車で5 分。今の生活 に満足していると、にこやかに応えておられました。 がんの患者さんにもお会いしました。郊外の特別養護 老人ホームに入所されていました。ほとんど食べられて いないようでしたが、穏やかにお休みになっていました。 往診で訪れた医師は、「苦しくなったらいつでも入院出 来るからね。遠慮なく言ってね。」と床にひざまづきな がら優しく語りかけているのが印象的でした。 50 年前にタイムスリップし、開業医だった父の姿を みるようでした。 ← 車で30 分、最後は歩いて往診先に向かう(筆者撮影) 会員 高橋 司 去る8 月18 日(火)、水戸駅南ホテルシーズン「飲茶香房」で恒例の納涼会が開催され25 名が参加し ました。千波湖を一望できる9 階のホールで4 つのグループに分かれ、遠方から参加の鈴木 昭久さん の音頭で乾杯。今回は県西から初めての方々も参加され、 にぎやかに納涼会を楽しみました。 河口副会長から「茨城県がん対策推進条例(仮称)」の 条例化に向けての説明があり、茨城よろこびの会が昭和 59 年から活動してきた実績が大きく飛躍する感を嬉しく 思いました。今後も会員の皆さんとともに交流を深めなが ら会員の増加に努め、地道に活動を続けてまいりたいと思 っています。 納涼会の涼やかなざわめき 2 参加者の皆さん 永井先生連載シリーズ 第1 回「地域に生きる」