肺がん検診
日本人のがん死亡原因の第1位が肺がんであり,今後も増加する傾向にあります。肺がんのリスク要因として,喫煙と密接な関係があるとされています。国立がん研究センターの情報では、喫煙者は非喫煙者と比べて男性で約5倍、女性で約4倍高いという結果があります。そのため,その予防対策としては,検診と喫煙習慣の改善が重要となります。
検診で見つかる病気
肺がんは,胸部X線画像による肺がんの検査と喀痰細胞診によって,見つけることが可能であり,X線検査を行った結果からは,結核,肺炎,気胸及び肺気腫などをはじめとする多くの病気を発見することも可能です。
検診の流れ
検診の内容
受診間隔 | 対象者 | 検診内容 |
---|---|---|
年1回 | 40歳以上 喀痰細胞診は,50歳以上で喫煙指数600以上の方が該当 |
質問,胸部X線検査,喀痰細胞診,ヘリカルCT検査 |
精密検査について
要精密検査と判定されたからといって,肺がんが確定されたわけではありません。まずは,医療機関で個別に精密検査を受けることになります。
肺がん検診で異常を疑われた場合は,最初に実施するのはCT検査です。胸部X線写真に写った陰影を確認するだけでなく,更に詳しく観察することによって肺がんかどうかの絞り込みを行います。一次検診として実施するCT検診とは異なり,ミリ単位で細かく肺を精密に検査する方法です。次に,気管支鏡検査(気管・気管支に行う胃カメラのような内視鏡検査)が挙げられます。確定診断には欠かせない検査方法で,喉に麻酔をして気管支鏡を挿入し,気管や太い気管支のなかを直接覗いていくことができます。気管やある程度以上の大きさの気管支に発生した腫瘍ならば,直接見ながら組織生検や細胞採取を実施します。なお,精密検査として検診時の検査(胸部X線検査,喀痰細胞診検査)を再検することは不適切であるといわれています。
以上肺がんの精密検査について簡単に説明しましたが,その他にも経皮生検などいくつかの診断のための検査が行われたりします。いずれも専門的知識と高度な技術が要求される検査になりますので,精密検査(二次検診)は呼吸器科の専門医師が揃い,検査体制が整った施設で受けることが望ましいといえます。
検診を受ける時の注意
胸部X線検査を受ける場合
・検診は無地のTシャツ等一枚で受けてください。
・長い髪の毛は上のほうに束ねてください。
・ボタンやファスナーの付いた服は脱いでください。
・ビーズや金属の付いた下着(ブラジャー),肩ひも金具付キャミソールは外してください。
・湿布,エレキバン,ホッカイロははがしてください。
・ネックレス,肩こり除去器具は外してください。
次に該当する方は,医療機関での検査をお勧めします。
妊娠または妊娠していると思われる方
喀痰細胞診検査を受ける場合
喀痰の採取方法
朝起きて,朝食や歯磨きの前に痰を採取してください。口の中をきれいにするため,痰を取る前に水またはお湯で2~3回口をゆすいでください。 | ||
白いフィルムをはがし,青いふたを開けてください。内側のシールをきれいにはがして捨ててください。 | ||
痰を容器に出し,ふたをしっかりしめ,容器を強く振ってください。 ※ 正確な検査を行ううえで,痰を完全に溶かすことは特に重要です。 |
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必ずラベルに,検診日,氏名,年齢,性別,"痰"をとった日を書いて容器に貼ってください。 |
痰がでにくい時は・・・・・
2~3回せきばらいをしてください。
ヘリカルCT検査を受ける場合
・検査時間は,1人当たり3分程度です。
・撮影のため,10秒程度息を止めていただきます。
・食事制限はありません。
・撮影する部位に金属類があると検査の妨げになりますので,金属類がついた服装はお控えください。
・ネックレス等のアクセサリーは外してください
次に該当する方は,ヘリカルCT検査を受診できません。
・心臓ペースメーカーを挿入されている方
・妊娠もしくは妊娠している可能性がある方
※ いずれの検診もすでに治療中および経過観察中の方は,医療機関での検査をお勧めいたします。 また,自覚症状のある方,検診結果が毎回「要精密検査」に該当する方も医療機関での検査を受けていただくようお願いいたします。