健康診断結果の見方
健康診断は受けるだけではなく,日々の健康管理に役立てることが大切です。検査結果から自分の健康状態を確認し,疾病予防のための生活習慣の改善などに活用しましょう。
がん検診の結果についての説明
がん検診の結果については,病気を確定診断するものではありません。本当に病気かどうかを診断するには,精密検査医療機関において精密検査を受けていただく必要があります。個人結果票に添付された「がん検診結果通知書兼精密検査結果通知書」をご持参のうえ,早めにお近くの茨城県登録精密検査医療機関を受診してください。茨城県では,一定の基準を満たす医療機関を精密検査実施機関(肺,胃,大腸,乳,子宮がん別)として登録しています。詳しくは市町村保健センターにお問合せ下さい。
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肺がん検診
● X線判定基準
- 図の見方
- 判定結果が,D1・D2・D4・E1・E2については,呼吸器専門医師の診察を受けてください。
なお,D3の判定については,循環器専門医師の診察を受けてください - D1
- 肺結核などの疑い
- D2
- 肺炎・気胸などの疑い
- D3
- 循環器疾患(心大血管異常など)の疑い
- D4
- その他縦隔腫瘍・胸壁腫瘍などの疑い
- E1・E2
- 肺がんなどの疑い
● 主なX線所見内容
所見名 | 所見解説(影の形を表しています) |
---|---|
しゅ りゅう けっ せつ 腫 瘤(結節含む) |
まるい影があります。小さな影は結節といいます |
しんじゅん 浸 潤 |
あわい不整形の影があります |
さく じょう せんじょう 索 状 線 状 |
線状の形の影があります |
散布 | 散らばった形の影があります |
胸水 | 水が溜まっている可能性があります |
心拡大 | 心臓の陰が拡大しています |
石灰化病変 | 硬くなった部分があり,古い影の可能性があります |
もう じょう えい ほうそうはい 粒状・網 状 影・蜂巣肺 |
小さな粒状の影や,網目状の影がみられます |
はい や とう か せい こう しん 肺野透過性亢進 |
肺が明るく写っている部分があります |
のうほう 嚢胞 |
空気がたまっている部分があります |
じゅう かくきしゅ 気胸・縦隔気腫 |
肺から空気がもれている可能性があります |
きょうまくひこう 胸膜肥厚 |
肺の周りの胸膜という膜が厚くなっている部分があります |
せつしゅだい リンパ節腫大 |
リンパ節が腫れている可能性があります |
大動脈瘤 | 大動脈の一部が太くなってこぶができている可能性があります。放っておくと破裂するかもしれません。 |
おうかくまくきょじょう 横隔膜挙上 |
横隔膜の位置が正常の位置から少しずれています |
胸郭異常 (脊柱側弯・肋骨骨折を含む) |
肺の外側の骨や筋肉に変形があります。背骨が曲がっている場合や肋骨が折れた場合,手術を受けた場合など胸郭異常とされることがあります |
● 喀痰細胞診判定基準
- 図の見方
- D1
- 悪性になる前段階の高度の異型細胞を認めますので精密検査が必要です。
胸部CT検査,気管支鏡検査(気管支内に内視鏡を挿入する検査方法)を受けてください。 - D2
- 悪性の可能性のある細胞を認めますので精密検査が必要です。
胸部CT検査,気管支鏡検査(気管支内に内視鏡を挿入する検査方法)を受けてください。 - E
- 悪性細胞を認めますので精密検査が必要です。
胸部CT検査,気管支鏡検査(気管支内に内視鏡を挿入する検査方法)を受けてください。
● 精密検査の重要性(令和4年度がん検診実績から分かったこと)
PDF(321KB)
胃がん検診
バリウムを使って胃の形や粘膜面の凸凹を写します。
● X線判定基準
- 図の見方
- 判定は,1~5の5段階に区分され,判定3,4,5の方は,病変の存在が疑われますので,必ず胃内視鏡検査を受けてください。
● 主な所見内容
所見名 | 内容 |
---|---|
胃・十二指腸潰瘍 | 胃や十二指腸の粘膜がけずれた状態のことです。薬物療法が基本ですが手術を要する場合もあります。 |
胃ポリープ | 胃の壁にできた「いぼ」のように盛り上がったものです。 |
胃粘膜下腫瘍 | 胃の粘膜の下から発生する腫瘤のことで,非上皮性腫瘍ともいいます。良性と悪性があります。 |
十二指腸球部変形 | 十二指腸潰瘍または潰瘍が治った跡により十二指腸球部がひきつれた状態です。 |
胃・十二指腸憩室 | 胃・十二指腸の壁の部分に弱いところがあり,そのために外側にふくれ出た状態をさします。袋状に突出しているだけで,病的な意味はほとんどありません。 |
れっこう 食道裂孔ヘルニア |
胃が食道の方向へ入り込んだ状態です。胸やけ等の症状が出ることがあります。 |
ばく じょう 瀑 状胃 |
胃が上方に持ち上げられ,上部が垂れ下がっている胃の形をいいます。肥満の方に見られることがあります。 |
食物残渣 | 消化されずに胃の中に残っている食物です。 |
透亮像(陰影欠損) | バリウムがはじかれた像です。 |
バリウム斑・ニッシェ | バリウムがたまっている像です |
胃角変形 | 胃角部が変形している像です。 |
辺縁不整 | 胃のふちが円滑ではなく,ギザギザや凸凹に見える像のことです。 |
粘膜不整 | 粘膜があれている像です。 |
ずうへき 皺襞集中 |
粘膜のひだが集まっている像のことです。 |
胃変形 | 胃の形が変形している像です。 |
● 精密検査の重要性(令和4年度がん検診実績から分かったこと)
PDF(330KB)
大腸がん検診
便に血が混ざっているかどうかを検査します。陽性(+)の場合は,大腸ポリープ,大腸がんなどが疑われます。その場合は,全大腸内視鏡検査を受けてください。
● 精密検査の重要性(令和4年度がん検診実績から分かったこと)
PDF(327KB)
乳がん検診
● 乳房X線検査及び乳房超音波検査の判定基準
- 図の見方
- 判定は,1~5の5段階に区分され,判定(カテゴリー)3,4,5の方は,病変の存在が疑われますので,必ず精密検査を受けてください。
● 乳房X線検査の主な所見
所見名 | 内容 |
---|---|
しゅりゅう 腫 瘤 |
他の細胞とは異なる組織のかたまりのようなものが見える像のことです。良性もしくは,悪性の場合がありますので,形やまわりの縁取り方及び濃度などから総合的に判断します。 |
石灰化 | 石のような像が写っているものです。点状・線状に見られることがあります。石灰化部分は,腫瘤と同じように良性と悪性があり,やはりその形態や乳房内での分布の仕方などにより総合的に判断します。 |
● 乳房超音波検査の主な所見
乳房の表面から超音波をあて,はね返ってくる反射波を測定することにより,腫瘍の性状を調べます。
所見名 | 内容 |
---|---|
豹紋状 | 豹紋のように島状に2~5㎜程度の低エコー域を散在的に認めるものです。 |
乳腺のう胞 | 乳腺内に液体が袋状に溜まった状態です。 |
● 精密検査の重要性(令和4年度がん検診実績から分かったこと)
PDF(338KB)
子宮頸がん検診
当協会の細胞診の結果は,国際分類である「ベセスダシステム」に基づいた分類を採用しております。
ベセスダ分類(略語) | 結果内容 |
---|---|
ASC-US ※ | 子宮頸部の表面を構成する細胞(扁平上皮細胞)に変化がみられます。 |
ASC-H | 扁平上皮細胞に悪性変化の可能性があります。 |
LSIL | HPV感染が考えられます。また,扁平上皮細胞に軽度の異常(異形成)がみられます。 |
HSIL | 扁平上皮細胞に中度異形成または高度異形成がみられます。 |
SCC | 扁平上皮がんが疑われます |
AGC | 子宮頸部の粘液を分泌する細胞(腺細胞)に変化がみられます。 |
AIS | 上皮内腺がんが疑われます。 |
Adenoca. | 腺がんが疑われます。 |
other | 他の悪性腫瘍が疑われます。 |
※ ASC-USでHPV検査を行い「陰性」の場合を除き,コルポ診と生検(組織診)いう精密検査が必要になります。コルポ診とは,子宮の出口付近を拡大して観察する診断方法です。診断結果により,病変の一部を採取して組織を調べる「組織診」を行います。
● 精密検査の重要性(令和4年度がん検診実績から分かったこと)
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前立腺がん
血液中の前立腺特異抗原(PSA)の量により判定します。値が高い場合は,前立腺肥大,前立腺癌などが疑われます。
〔正常値〕
64歳以下:3.0ng/mL以下
65~69歳:3.5ng/mL以下
70歳以上:4.0ng/mL以下
腹部超音波検査
超音波の反射を利用して,内臓を画面に映し出す検査です。検診で検査している臓器は肝臓,胆のう,腎臓,膵臓,脾臓です。
所見名 | 所見解説 |
---|---|
かんぞうしゅりゅうせいびょうへん 肝臓腫瘤性病変 |
肝臓の腫瘤には良性から悪性までいろいろな腫瘤があります。良性か悪性か鑑別するためには精密検査が必要です。悪性腫瘤には肝臓自体から発生した原発性と他の部位から転移してきた転移性があります。 |
かんないせっかいか 肝内石灰化 |
肝臓にできたカルシウムの沈着のことをいいます。 |
かんけっかんしゅ 肝血管腫 |
血管から構成される肝臓の代表的な良性腫瘍です。大きさによっては精密検査が必要となることがあります。 |
かんのうほう 肝のう胞 |
液体が貯留した袋状の病変です。単発あるいは多発し通常は無症状ですが,のう胞が大きくなると腹部膨満感,圧迫感等の自覚症状が認められることもあります。 |
しぼうかん 脂肪肝 |
肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態です。糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病と密接な関係があり,内臓脂肪型肥満や飲酒が原因であることが多いです。脂肪肝から肝硬変,肝細胞癌へ発展することがあり,脂肪肝が見られる人は生活改善が必要です。 |
すいのうほう 膵のう胞 |
液体が貯留した袋状の病変です。膵液が溜まってる場合や,液体を産生する腫瘍ができている場合があり,精密検査が必要となることがあります。 |
たんのうけっせき 胆のう結石 |
胆のう内に形成された結石のことです。胆のう壁の肥厚を伴う場合や結石の後方の胆のう壁が十分に観察できない場合には悪性腫瘍との鑑別のため精密検査が必要となることがあります。 |
たんのうぽりーぷ 胆のうポリープ |
胆のうの粘膜がコレステロールの塊などで隆起した状態で,自覚症状はありません。大きさによっては,悪性腫瘍との鑑別が必要な場合があり,精密検査が必要となることがあります。 |
じんのうほう 腎のう胞 |
液体が貯留した袋状の病変です。単発あるいは多発し,加齢とともに発生頻度が増加します。良性病変で,放置してもよいのですが,のう胞が大きくなり,周辺臓器を圧迫し,障害をおこす危険性がある場合は治療の適応となることがあります。 |
じんけっせき 腎結石 |
腎臓にできた結石です。小さな結石は自然排石も期待できます。腰痛や腹痛などの症状がある場合には,速やかに医療機関を受診してください。 |
ひのうほう 脾のう胞 |
液体が貯留した袋状の病変です。良性病変で特に心配ありません。 |
ひないせっかいか 脾内石灰化 |
脾臓にできたカルシウムの沈着のことをいいます。 |
ふくひ 副脾 |
脾臓の一部が遊離したもので,主に脾臓の周囲に存在します。ほとんどが1個ですが,複数存在することもあります。病的意義はなく特に治療の必要もありません。 |