眼底検査の所見解説
眼底検査の所見解説
眼底の仕組み
● 目の構造
● 所見内容
所見名 | 所見解説 |
---|---|
網膜出血 | 多くの網膜出血は,網膜の毛細血管に由来しますが,細動脈あるいは細静脈からの出血もあります。黄斑部に出血すると視力低下が強くなります。 高齢者の場合,高血圧性動脈硬化及び糖尿病性網膜症からくることが多いようです。 |
軟性白斑 | 毛細血管に至る前の細動脈が閉じて,その下流の毛細血管が塞がってしまうために出来るものです。 軟性白斑は,綿花状白斑ともよばれ,血圧の上昇が急激に起きたときや,腎臓の働きが悪くなったとき(尿毒症)などにみられる一つの危険信号です。 |
網膜静脈閉塞症 | 網膜の静脈が詰まって,網膜に出血する病気です。 主な原因としては,高血圧や動脈硬化,血管の炎症などによることが多いようです。 初期の出血は網膜への出血で,半年から1年すると新生血管が生じて,これから再出血を起こし,硝子体出血を起こすことがあります。光が網膜に届かなくなるので,全体が見えなくなり,視力低下を起こします。 |
糖尿病性網膜症 | 糖尿病が原因で網膜に異常をきたす病気で,失明の大きな原因の一つです。 初期段階では,自覚症状がありませんが,進行してきてはじめて視力の低下に気づくことが多く,気づいた時には手遅れの場合もあるので注意が必要です。 網膜症が出てくるのは,糖尿病になってから数年ないし10年ほどしてからが多いようです。 |
網膜変性症 | 網膜の一部に栄養が行かなくなり,網膜が変化した状態をいいます。 なかには,網膜裂孔を起こし網膜剥離になるものや視野障害を起こすものもあります。 |
黄斑部異常 | 網膜には,視野の中心部分の物体を特に鮮明に感じることのできる部分があり,それを黄斑といいます。網膜の中心部である黄斑部は,映像を結ぶ部分で,ここに異常が起こると視力に最も関係し視力障害を起こします。 |
網膜色素変性症 | 先天性の病気で,夜盲・視野の狭窄・視力の低下などの症状が表れます。 網膜色素変性症とは,網膜の色素上皮層という部分に異常な色素が沈着して,光の明暗を感じ取る細胞が侵される病気です。 網膜の周辺部分から徐々に侵され,中心部分に向かって視野が狭くなっていきます。視力低下の進み方には個人差があり,中心視野と視力は比較的保たれ,非常にゆっくりと進行します。 |
緑内障性 乳頭陥凹 |
光を脳に伝える神経の束の眼球への入口部分を視神経乳頭といいますが,視神経が障害されて,視力や視野に異常を起こす病気を緑内障といいます。 緑内障では,この部分が陥凹(かんおう)する「乳頭陥凹」という所見が表れます。 |
近視性眼底 | 近視の眼底は,眼球の奥行が長く伸びるため網膜が薄くなり,脈絡膜の血管が透けて見えます。強度の近視になると,豹紋状の眼底になったり,乳頭の周囲や黄斑部にも引き伸ばされたための変化が現れ,視力障害を起こします。 |
透光体混濁 | 眼に入った光線が網膜に達するまでの透明な部分を透光体といいます。角膜,前房,水晶体及び硝子体の総称です。透光体の混濁が強い場合は,視力障害を起こします。原因として白内障などがあります。 |
乳頭の異常 | 光を脳に伝える視神経が眼球後部で集まる部分を視神経乳頭といいます。 先天性の異常の場合や脳疾患に伴う異常などがあります。 |
網膜血管の異常 | 網膜血管は,視神経乳頭から出て,眼底に分布する網膜を養っている血管です。 |
網膜の異常 | 網膜はカメラのフィルムに相当する部分で,眼底のいちばん内側にあります。外界から目に入る光は網膜に達することにより,物の形や色,光として感じることができます。 |
脈絡膜の異常 | 脈絡膜は網膜の外側にあり,内側の網膜と外側の強膜によって挟まれた薄い膜で,多量の色素があり,瞳孔以外からの光りを遮断しています。 血管が豊富なため血管の循環障害によって病変が起こります。 |
硝子体の異常 | 眼球の中心部分にあたるところには,硝子体とよばれるゼリー状のものが詰まっています。本来は無色透明で光をよく通しますが,濁ったりすると物がかすんで見えたり,ゴミのような物が浮いて見えたり(飛蚊症)することがあります。 また,硝子体に出血を起こすと光が網膜に届かなくなって,視力や視野に障害を起こすこともあります。 |
光凝固斑 | レーザー光線などを照射して悪い部分を破壊する治療が行われ,これを光凝固といいます。光凝固斑とは,この凝固した跡のことをいいます。 |
黄斑円孔 | 黄斑に穴があく病気ですが,強度近視,外傷,加齢変化などでも見られます。多くは硝子体の変化により起こります。 |
黄斑部所見不明 | 水晶体の混濁(白内障)や硝子体の混濁,網膜剥離により黄斑部の所見がとれなくなることがあります。 |
乳頭上出血 | 糖尿病や高血圧などの影響で視神経乳頭に出血を認めることがあります。緑内障で視神経乳頭陥凹とともに出血を認めることがあります。 |
乳頭浮腫・腫脹 | 視神経の炎症の原因としては,多発生硬化症が大多数ですが,感染症や中毒などでも見られます。 |